令和5年入学式・式辞
新緑が鮮やかな春爛漫の本日、ここに大阪府立・水都国際中学校、高等学校の第5回入学式を挙行できますことは大きな喜びであります。教職員を代表致しまして、皆様に心から御礼申し上げます。
本日入学の日を迎えられた、新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
本校への入学が決まった新入生の皆さんが、本日の晴れの日を迎えることができましたのは、これまでの皆さんの努力の成果である、と同時に、保護者の皆様の愛情とご苦労、小学校、中学校の多くの先生方のご指導のお陰だ、ということを決して忘れてはならないと思います。
水都国際での第一歩を踏み出す皆さんが、これからの3年間、中学校の皆さんは6年間、一層の努力を重ね、更に、心身ともに大きく成長することが、保護者の方々をはじめ、これまでお世話になった多くの方々に報いることになります。学校での生活を楽しみながら、精一杯頑張って下さい。
入学に至るまでの努力を称えるとともに、入学を心から歓迎いたします。
さて、ご承知のとおり本校は 国際社会でリーダーシップを発揮し活躍するための英語によるコミュニケーション能力の育成と、国際理解教育に重点を置いた教育活動を通じ、地球的視野に立って行動する態度・能力を育成し、大阪の産業の国際競争力の強化及び大阪における国際的な経済活動の拠点の形成に寄与する人材を育てることを目的として、新たに設置された日本で初めての公設民営型中高一貫教育校です。
国家戦略特別区域法における学校教育法の特例を活用し、公立学校の運営を民間の学校法人、すなわち大阪YMCAに委託された本校は、公立学校としての教育水準及び公共性を保ちながら、民間の知見を活用することで、これまでにないフレキシブルな教育の実現が可能となっております。
その教育の最大の特徴は、与えられた知識から知恵を生み出す教育、すなわち探究型の学習になります。この探究型の学習においては様々な方面で皆さんに挑戦をしてもらいたいと考えています。挑戦には失敗も伴います。失敗自体に意味がある場合もあります。
「失敗を恐れずに何事にもチャレンジしよう」というのは、よく言われますが、私は、それと同時に、失敗から立ち直る力、回復する力、つまり「レジリエンス」を皆さんには身につけてほしいと思います。そのために、心にとめてほしいことが4つあります。
一つ、成果が現れなかったときは、「自分に才能がなかったからではなく、自分の努力が足りなかったからだ」と反省し、再び立ち上がること。「努力に勝る天才なし」という言葉があります。粘り強く努力した結果、才能が開花するのです。自分の可能性を信じて努力を続けてください。
二つ、失敗したことを悩んだり、悔やんだりしても、結果それ自体は変わりません。それは、やらなくてもよいことです。限られた時間の中で、やらなければならないことは、次に備えて改善策を模索すること。いち早く気持ちを切り替えて、前に進むことです。
三つ、家や学校、研修先で叱られたときには、叱ってくれている人の思いを汲み取ること。あなた方の成長を期待しての叱責です。また、叱られることで、心が鍛えられ、「折れない心」がつくられるのです。
四つ、失敗しても、他人のせいにせずに、自分自身にしっかりと目を向け、自己と向き合って考えること。他人のせいにした瞬間に自分ごとではなくなります。世界のなかでたった一人の自分を育てる責任者は、あなた自身です。もう一人の自分と対話し、失敗から学んでください。
言うまでもなく、高校は義務教育ではありません。中学校も皆さん自身が選択した学校です。皆さん自ら希望し、学ぶ決意をした本校への入学を持って、水都国際の生徒として負わなければならない責任が生じています。
本校では、大学進学を高校卒業後の進路の核に据えておりますが、大学のその先にある『プロフェッショナル』を常に意識し、中高6年間、高校三年間で、社会人として必要な様々な資質も含めて、皆さんを地域社会及び国際社会を力強く切り開いていける「グローバル・イノベーター」、すなわち「社会を革新していける人」に育てる事が責務であると考えております。
中学生、高校生としてどうあるべきか、という以前に、一人の社会人として、地域の一員としてどうか、を常に念頭において学校生活を過ごして頂きたいと思います。校則がない事が独り歩きすることがある水都国際ではありますが、自立した社会人としての責任、自分を含めた学校というコミュニティがどうあるべきかという、良識と創造力をもって水都生としての責任を果たしていってくれることを皆さんには期待しています。
そこで、スタートに当たって、皆さんに社会人として、又本校生徒として、お願いしたいことを二つ申し上げます。
一つ目は、社会人として最も基本となるマナー、約束事に関するお願いです。
『身だしなみも含めた校内の美化』、『挨拶の励行』、『時間厳守』という、基本的な事柄が、先ず初めに、そして最低限守っていただきたい約束事です。詳細はまた機会を持って説明致しますが、いずれも中学生・高校生としてはもちろん、社会人にとっても重要な要素です。内容的には言葉どおりですから、皆さんの意識一つで簡単に実践できる事ばかりです。
二つ目のお願いは『学校を楽しんで』と言う事。
勉強にせよ、課外活動にせよ、中学や高校でしかできない事に懸命に取り組んでください。そして、やる限りはそれを楽しんでやってください。
嫌々していたり、不満を持って取り組んでいるのと、自ら参画意識、目的意識を持ってやるのとでは吸収力が異なり結果として、成果には大きな開きが生じます。積極的に何事にも取り組む癖を、今から、楽しみながら身につけていってください。
保護者の皆様、お子様のご入学を、心よりお祝い申し上げます。そして、お子様と共に、この大阪府立水都国際中学校・高等学校を進路先としてご選択頂き、深く感謝申し上げます。
本日から皆様の大切なお子様を、しっかりお預かりいたします。
これより先、卒業までの間、教職員一同、お子様ひとり一人の人間教育に対する責任と、使命の重さをしっかりと認識し、指導に邁進させていただくことをお誓い申し上げます。
そして、申すまでもなく子どもたちの教育には、保護者の皆様、そして地域をはじめとした関係者の皆様の深いご理解と、さらなるご協力をいただかなくてはなりません。
なにとぞ、引き続き、お力添えのほど、よろしくお願い申し上げます。
本日の入学式にあたり、新入生の皆さんの、水都国際における充実した学校生活を期待し、式辞といたします。
令和5年4月7日
大阪府立水都国際中学校
大阪府立水都国際高等学校
校長 井上 省三