【出身中学校】高槻市立第九中学校

【所属コース】IBコース(理系)

【在学時の主な活動】
・ダンス部:体育祭、文化祭で活動
・CAS:地域交流イベント企画・開催等
・日本生物学オリンピック予選 優良賞
・2023大阪マラソンボランティア
・海のまち清掃ボランティア
・ふれあい喫茶ボランティア

・研修旅行実行委員会
・Astrobotany Intern
・大阪YMCA 140周年記念誌 アートプロジェクト 掲載 etc…

【進学先】
北海道大学
総合教育部理系(総合理系)

(撮影:写真研究部)



 私は中学校が過ごしにくかったです。自分らしさを出すと自分が傷ついてしまう様な環境にあったからです。結果的に中学二年生から学校へ行かなくなりました。
 そのため、自分が自分らしく楽しく過ごせるような高校を探して受験をしました。通信制を考えたこともありましたが、どうしてもキラキラした青春と理科の実験を高校でしたかったので、水都国際を選びました。実際にオープンスクールに行って、先輩の姿を見たことで「なんか良さそう」と思うことができました。塾の先生に「英語のできる理系は重宝されるよ」と言う言葉にも影響され、進学したいという思いが強くなりました。
 実際に3年間を水都で過ごした感想は、「濃かったなぁ」でした。4年間ぐらい過ごした気分です。とても充実していてキラキラした思い出です。楽しかったこともたくさんあったし、学びもたくさん得ることができました。楽しかった理由は、何よりも自分が自分のままで受け入れられていると感じれたことです。大学に進学して環境がガラッと変わった今では、水都の多様性を受け入れる雰囲気の過ごしやすさをより感じています。


 水都ではIBDP(国際バカロレアディプロマ・プログラム)を修了しました。良かったことも大変だったことも私の高校生活はIBDPが全てと言っても過言ではありません。大学入試面接で「高校時代に力を入れたことは何ですか」と聞かれた時に、かならず「IA」「EE」「CAS」の話題を出すほどでした。
 ここで軽くIBDPのカリキュラムについてお話ししたいと思います。DPでは6教科と3つのコアカリキュラムを修了することでディプロマが授与されます。各6教科の評価は内部評価(IA:internal assessment)と外部評価(最終試験)で評価されます。どちらも修了に必須です。IAでは自分でリサーチトピックを決めてエッセイを書くものや文学作品等についての口述試験があります。コアカリキュラムには、EE、 TOK、 CASがあり、これらもIBDPを修了する上で必修となります。


 EEとは自分でリサーチ分野を決めて書く、課題論文です。ガッツリ実験したり、データベースをもとに統計・分析したりと自由です。私は生物(日本語)で、漢方薬と西洋薬の有用性についてというテーマで書きました。また、EEは1番忙しい3年生の夏休み前くらいに仕上げる時期が来るのでタスク管理に苦労しました。自分の書いている内容にも自信が持てなくて、こんなのでいいのかと諦めたくなる時も多かったです。最終的には高めに評価をもらうことができ、大学に進学できています。


 TOK(Theory of Knowledge)とは、知識とは何かについて学ぶ授業です。よく哲学に似ていると言われますが、哲学ではないらしいです。どうしてこんな書き振りかというと、とても苦手だったからです。自分の考えていることの表現の難しさや、思考の飛躍、思い込みなどいろんなことに気付かされた授業でした。(楽しい時もあるし、ハマる人にはハマる素晴らしい科目なので気になる人はぜひ入学してみてください。)
 CASとは、Creativity・ Activity・ Serviceの3つから構成される課外活動プログラムで、創作活動(絵を描いたり)やボランティアなどさまざまな活動とその振り返りを通じて学びを得るというものです。その中にCAS projectという長期的取り組みがあります。私のチームはこの一環として、南港地域と水都の生徒との交流会を開催しました。地域の社会福祉協議会と連携して宣伝してもらったり、現状の課題を把握するために地域のサロンに出向いたり、初めての交流会を設計するためにイチから取り組みました。大変だった点としては土日が潰れて課題が後回しになることでしたが、CASは比較的楽しいのでどうにか乗り切れたと思います。


 これらの学びは主体的で創造的であり、いわゆる「これからの時代で求められる力」を養うのにうってつけの活動でした。IBコースの仲間とはかけがえのない一生ものの関係を築くことができました。間違いなくIBDPでの学びが私の青春です。一方で、これらの主体的で創造的な活動というのは初めて体験する生徒にとって慣れないことであり、様々な自己管理、膨大な量のタスクを把握しこなすというハードワークを課せられたプレッシャーはものすごいストレスでした。


進学・将来について

 水都国際およびDPにおける学びは大学での学びに直結し、他の学生に比べて、今とても楽をしています。パソコンの使用、情報リテラシー、レポートの書き方、英語力、大学理科の基礎知識、等、挙げきれないほどです。
 大学では海外大へ進学しませんでしたが、海外で働きたいという思いを抱いたのは水都に来たからこそだと思います。自分がどのように社会で活躍したいかについて考える機会を得、話し合える環境にあったことは、私のキャリア構築においてとても重要な役割を果たしました。
 入学前後の違いについてお話します。入学前の私はとにかく高校卒業資格が取れたら満足でした。加えて、高校生でしかできないことが経験できたら何も文句はない。という姿勢でした。入学後は、学校が楽しくてたまらないといった感情を抱くことができ、人生で初めて一生懸命何かに打ち込んでやり遂げるという体験をすることができました。活動的な友人たちの影響で自分の行動もよりアクティブになりました。


 進路選択については、幅広く、自分の可能性を最大限に活かすことを念頭に行いました。私は将来、生命科学、特に医学関連の研究がしたいと考えているので、関連のある学部を幅広く受験しました。IBの科目とスコアの関係から受験できる大学は少し狭まってしまいましたが、理学部(理学科、生命科学科)、薬学部(薬学科)、医学部(医学科)、総合教育部(理系)を受けました。5校の内、4校が国公立です。そのうち3校に合格することができました。普通に考えたらちょっと変わっている受験校選択ですね。国公立併願が(場合によっては)可能であることが、かなりIB生のアドバンテージであると感じました。
 ちょっと脱線すると、私は今総合理系という課程でもう1年受験生のような大学生をしています。1年の余裕はいろんな学部の可能性を考えさせてくれる良い時間だと感じています。大変な点としては物理と数学がわからなさすぎることですかね。友達に恵まれてたくさん助けてもらっています。こういう進みたいところがよく定まっていない人、諦めきれない何かがある人は総合理系いいんじゃないかと思います。


 話を戻します。私はさらに、IB入試、AO・特別入試と並行して、共通テストの対策も行いました。最後まで諦めたくないと思っていたからです。共通テストのスコアを利用することはありませんでしたが、その時の知識は一般教養として役立つ時もあります。
 一方で、モチベーションや資金の関係から学士での海外進学はしない決断をしました。もちろん、海外でPreMed(医学部準備コース)等を取れば医学部等自分の希望に合った進路も選べた可能性もあります。しかし、自分の一人暮らしに対する不安感や英語技能にに対する不足感などを考慮し、一歩ずつ進めることにしました。留学は学士での交換留学や、大学院留学を考えています。もし学び足りなかったら社会人になっても学び直すつもりです。
 先生や親等に海外進学を勧められる人もいるでしょう。興味はあるけどもうちょっと準備したいという気持ちもあるかもしれません。先日、大学の授業でも「期を逃さず、臆さずに留学に挑戦していってほしい」といった講義を受けることもありました。挑戦はいいことです。私にとっても高校での挑戦は確かに今の私の糧になっています。しかし、やり過ぎた跳躍は自分の体を壊します。中学生の頃の私がそれです。自分に合った歩幅で、やりたいことを焦らずに着実に一歩ずつ実現していくというのが私のやり方です。なので初めての一人暮らしは海外ではなく日本ですることにしました。これがいいとは言いません。たまには思い切った一歩が自分を成長させてくれます。


最後に

 終わりにはなりますが、高校での日々が確実に今の私を形作っています。
 大変なことが立ちはだかっていても、めっちゃ小幅ずつでも進んでいけばいつか絶対終わりがあります。
 たまには別の景色も見ながらがむしゃらに取り組んでいきたいというのがこれからの私の人生設計です。
 皆さんも3年間で人生や考え方、見方が変わるような濃密な時間を過ごしてみてください。



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